前立腺がんは高齢男性に多い病気です。前立腺がんはアメリカで大変多く、男性のがんのなかで「罹患数」は第1位、「死亡数」は肺がんに次いで第2位の疾患です。日本においても生活様式の欧米化などから、今後増加すると予測され2020年には肺がんに次いで罹患数の第2位になると予測されています。
健診などで発見された前立腺がんは比較的早期がんであることが多いですが、排尿のトラブル(排尿困難・血尿など)で泌尿器科を受診され発見された前立腺がんは進行していることがあります。前立腺がんは健診による早期発見が可能であり、それによって適切な治療が可能です。
診断方法は?
- 直腸指診:肛門から指を入れ、前立腺の大きさ・硬さ・しこりの有無について調べます。
- PSA(前立腺特異抗原)の測定:スクリーニング検査になります。日本泌尿器科学会では50歳以上の男性の方にPSA測定をお勧めしています。肉親の方に前立腺がんの方がいらっしゃる場合には早期のPSA測定をお勧めします。
- 超音波検査:前立腺の容積・内部の状態を調べます。
- 以上の検査から前立腺がんの疑いがあるかどうか判断します。
- 診断の確定は前立腺の組織を採取(生検)し顕微鏡で見る検査(病理診断)で判断します。
- がんと診断された場合には
- CT・MRIなどの画像診断でがんの広がりや転移の有無を調べます。
- また、骨への転移を調べるため骨シンチグラフィを行います。
- 以上の検査結果を参考にして治療方針を考えますが、患者さんの年齢・全身状態・患者さんのご希望が治療方法を選択するうえでとても大切になります。
- 治療方
- 早期がんであれば「放射線治療」「手術療法」「待機療法」「ホルモン療法」など様々な治療選択があります。
- 進行がんであった場合には、有効な治療が限られてしまいます。ほかの臓器のがんと同様に早期の発見が大切になります。
- 無治療経過観察・待機療法
- 診断時のPSA値が低く、生検の結果からがんの病巣が小さく悪性度も低く、がんの広がりがない患者さんで、すぐに体へ悪影響をおよぼさないと判断された場合に行われるものです。治療は行わずにPSA検査などを定期的に行います。
- ホルモン療法
- 前立腺がんを増殖させる男性ホルモンの分泌や作用を抑制しがんの進展を防ぐ治療です。
- 手術療法
- 前立腺・精嚢および周囲のリンパ節を摘出します。患者さんへのお体への負担は少なからずありますが、がんを体外へ摘出する理にかなった治療方法です。
- 放射線治療
- 「外照射療法」「組織内照射療法」の方法があります。
- 外照射療法:体の外から病巣にX線などの放射線を照射してがん細胞を死滅させる方法です。前立腺がんの場合には約2か月の治療期間が必要です。がんの部位へ重点的に照射する「IMRT」といわれる放射線の強度を調整する方法が一般的です。
- 組織内照射療法:別名「小線源療法」とも呼ばれます。入院期間は約4日間ですが行うことが可能な施設に限りがあります。
- がんの悪性度によってはホルモン治療と併用して行うことがあります。
湘南泌尿器科・内科では…
- 前立腺針生検をご希望の場合には院長までご相談ください。
- 開院後から約50名の前立腺がん患者さんの外来治療・在宅医療を行っています。
- ホルモン療法・外来抗がん剤治療・在宅医療・進行前立腺がんに対する緩和医療・放射線や手術後の経過観察など前立腺がんに対するすべての保険診療が可能です。
- 手術や放射線治療をご希望される患者さんへは、適切な医療機関をご紹介します。
- ほかの施設で前立腺がんの診断を受けられ、治療方針を悩んでいる患者さん・ご家族に対してはセカンドオピニオン外来を行っています。
- がんを治すだけではなく、がんとうまく付き合っていく考え方も大事なことであると考えており、患者さん・ご家族の要望を念頭に置き時間をかけて相談していきます。